こんにちは!わだちの犬飼です。
ずっと照り続けていた太陽も、今日は元気がないようで比較的過ごしやすい1日でした。ここから暑くならないといいんですけどね〜
夏の暑さは人間だけでなく、車にもトラブルをもたらします。特にコペンは元々エンジンに熱を持ちやすい車種でもあるので、夏場のエンジン冷却系統のトラブルは深刻なダメージを与えかねません・・・

こちらコペンのJBエンジンについているウォーターポンプと言う部品になります。役割としてはエンジン各部を冷却の為に巡っているLLC(ロングライフクーラント)を送り出しているポンプになりまして、補機ベルトやタイミングベルトを介してエンジンの動力を用いて駆動されています。
コペンに限らずウォーターポンプには寿命があり、寿命を迎えると軸が破損してLLCが送り出せなくなったり、そこから水漏れが発生したりします。
定期的にプロの整備士が点検していれば基本的には未然に壊れる前に交換のアドバイスがなされるところですが、実は予兆が異音となって現れることもあるのでユーザー様でも事前に気付くことができたりもします。
少しわかりにくいのですが、回転させると『きゅっ、きゅっ』と音が聞こえます。新品ではこんな音は出ません。(実際は冷却水が通ってない状態で軸を回転させると破損の原因となるので回してはいけません!)
先述の寿命の予兆としてエンジンを停止させて、回転が止まる直前にこの音が聞こえてくることがあります。例えるならば音量の小さなベルト鳴きといったところですかね。
大体10万キロ前後で寿命を迎えることが多いので、まだ大丈夫でも予防も兼ねて替えておくとよい部品の1つです。壊れたからではエンジンの他の部分をオーバーヒートでダメにしてしまうこともあります・・・

続いて他のコペンのお客様よりSOSの入電。『いきなりエンジンが4000回転より上が全く拭けなくなり、加速も悪くなった』との事。
点火系?タービン?等々いろいろなことが考えられますが、ひとまず実車を前にしないと机上の空論に過ぎないので、ご入庫されてから考えてみる事にします。
ご入庫されてまず試乗してみると、お客様の申し出の通り全く吹けません。4000回転より上ではリミッターが聞いたように全く回転が上がらなくなります。そして社外のブーストメーターがついているのですが、ブーストも全く上がっていません。
加速が悪いとなると正圧のブースト圧ばかりに目が行きますが、アイドリングの負圧の値もエンジンの状態を知る大切なパラメーターです。このお車のアイドリング負圧は異常に高い(大気圧に近い)状態でそこに違和感を感じ、ブースト計の圧力取り出し配管部分を見てみると・・・

ここのホースが硬化して亀裂が入っています。エンジンをかけた状態で点検するとシューシューいっていたのですぐにわかりました。
純正のホースはある程度良いものを使用しているので、硬化には強い(それでも年月と熱で硬化してしまいますが・・・)のですが、社外品は品質に差があるので割れてしまう事も多いです。
このトラブル結構あるあるなので、ブースト計をつけている方は多いと思いますので、よく点検した方が良い部分にもなります。
ではどうしてここに亀裂が入るとエンジンの調子が悪くなるのでしょうか?

その答えはこの赤丸にあります。これはバキュームセンサーと言いまして、エンジンの吸入菅内部の圧力を検出している純正のセンサーになります。
役割としてはブースト圧の検出だけでなく、スロットル開度とこの圧力を利用してECUが演算してエンジンに入ってくる吸入空気量も検出している大事なセンサーなのです。
ですのでこのセンサーに入る手前でホースに亀裂が入ってしまうと、そこから空気が出たり入ったりして、センサーに正しい値が入力されず、ECUが吸入空気量を正しく認識できなくなってしまうので、エンジン不調になるといったメカニズムになります。
良かれと思ってつけた社外品が悪さをしてしまう事もあるので要注意な1例ですね!そんな事例が他にもあるので、後日ご紹介したいと思います。
ではでは!