こんにちは!わだちの犬飼です。
残暑の厳しい日々が続いておりますが、夕方になると感じられる秋の気配で少しづつ季節の移ろいを実感できます。
さて、わだちでは現在ミッション祭りを開催中です!笑

お祭りといっても何か催し物をしているわけではなく、ただ単にマニュアルトランスミッションのオーバーホール作業や、クラッチ交換作業に伴うトランスミッションの脱着作業が連続しているだけです。
上の画像はEP91スターレットのMTを分解している様子です。元々はクラッチが切れない事があるとのご相談からクラッチ周りを一新するメニューで作業を進めさせて頂いていたところ、MTを降ろしてからクラッチ周りを点検すると・・・
ミッションのインプットシャフト(クラッチディスクと繋がっているシャフト)からMTオイルが漏れている事が判明。このオイル漏れが悪さをしてクラッチディスクが張り付いてしまい、クラッチが切れなくなる事がある故障が判明した為、急遽MTのオーバーホールを実施することとなりました。
車種によって違いはありますが、大体の車はインプットシャフトのオイルシールを交換するためには内側からアクセス(ミッション全バラシ)となるケースがほとんどです。

わかりにくいですがこちらが問題のインプットシャフトが通っている穴です。

オイルシールを取ってしまったので更にわかりにくいのですが、内側から見た様子です。
オイルシール自体は数百円の部品ですが、作業にはかなりの時間がかかるので、工賃はどうしても高くなってしまいます。

続いてはこちらのお車のミッションのお話。これは車上でミッションを傾けて左のタイヤハウスの中から5速ギアの部分を点検している様子です。
フランス車のルノー、カングーのマニュアルトランスミッション(珍しいです!)ですが、走行不能となってしまいレッカーでご入庫です。症状としては5速からギヤが抜けなくなってしまい、ニュートラルでもギヤが入ったままです。他のギヤには入るのですが、MTないで二重噛み合いになってしまうため、走行できません。5速固定ですので前進はなんとかできますが、クラッチに負荷がかかりますし、リバースもできないので通常走行は難しいですね。
そんな状態だったのでいきなりミッションを下ろす前にひとまず車上で5速ギヤ部分を点検してみたわけですが、まず初めにびっくりしたのがこちら

空のオイルジョッキではありません。カングーのMTから抜いたミッションオイルの量ですが、100ccにも満たない量しか抜けませんでした。規定量は3リッターほどなので、ほとんどからの状態で走行していたことになります。
先ほどの5速ギヤの画像をよく見ていただくと分かるのですが、ギヤにオイルっ気が全くございません・・・
このカングー走行距離は16万キロほどで見た目にオイル漏れなどはありませんでした。(中身が入っていないので、漏れようがありませんが・・・)
MTオイルはレベルゲージなどがないので点検を怠りやすい箇所ですが、もちろん法定定期点検項目にもなっている重要な箇所です。オイル自体もギヤの鉄粉が混ざって汚れるので量だけでなく定期的な交換も必要になります。
そんなギヤオイルが入っていない状態で走行するとどうなるのかと言いますと・・・

こちら5速ギヤの状態です。左の部品がシャフト上で空転していて、右の部品はシャフトに固定。シフトを5速に操作すると右の部品外周のスリーブが動いて左の部品と噛み合うことで連結するような仕組みになっています。
見ていただきたいのが赤丸の部分。何やらかなり削れています。本来左の部品の内側の筒のようになっている箇所はもう少し飛び出していて、右の部品と面接触でなく線接触することで空転する事ができていたのですが、ギヤオイルがなく潤滑されない状態で金属同士が高速で触れ合う事で削れてしまい、やがて面接触に変わってしまい、高速走行でこの部分が固着しスリーブが動かなくても(5速に操作しなくても)常に5速に入っているのと同じ状態になってしまったという訳です。
そして厄介なことに、この部品単体で日本国内向けに補給がないそうで、新品部品が入手できません。
5速ギヤ以外にもダメージがある事が想定されますので、奇跡的に走行距離の少ないM Tが手に入ったのもあり、今回は中古MTに交換することとなりました。
その作業を行ったのが本日。

色々ととっ散らかっていますが、なんとかミッションを下ろし終えました。
サブフレームや足回りをごっそりを外したりと中々大掛かりな作業でした。明日はクラッチ周りを交換して中古MTを搭載します!
ではでは!