こんにちは!わだちの犬飼です。
今回の主役はこちらの1台!

この顔を見てパッと車種が出た方、なかなかマニアックな車好きですね笑
こちらはトヨタのデュエットという車で、ダイハツのストーリアのOEM車になります。
コペンばかりの当店がなぜこの車の整備をやっているのかと言いますと・・・

この車に乗っているエンジンはK3という1300ccの直4エンジンで、逆輸入コペンに搭載されているエンジンと同じ型ですので、当店は何度も整備している経験があり、ご依頼いただきました。
このデュエットのK3は逆輸入コペンに搭載されているK3-VE型ではなく、K3-VE2というハイカムハイコンプピストンになっているNAで110馬力を発生させる隠れた名エンジンなのです。

題名にもある通りオイル消費が激しく、空ぶかししただけでも白煙がモクモク出てきてしまいます。車のリア周りもオイルの燃えかすで真っ黒になっているのがわかります。
普通こんな状態ではエンジンがダメなので廃車orエンジン載せ替えですが、名機ですので是非とも復活させたいと思います。
載せ替えという選択肢もありますが、VE2型は球数が少なくリビルトも無いのでいつものように当店でオーバーホールしていきます。

まずはいつものようにサクッとエンジンを車体から降ろします。コペンと共通の部分も多く(故に1300コペンが存在します)尚且つエンジンルーム内のスペースが広いので、コペンよりも簡単に降ろすことができます。
降ろした後エンジンを開けてみると、オイル自体は汚れていますが本体の汚れは少なく意外と綺麗でした。オイル消費してしまう原因はオイル交換不足によるスラッジの堆積によって、ピストンのオイル逃げ穴が詰まったり、ピストンリング が固着する事で起こることが多いので、この綺麗さは予想外でした。

しかしながらタイミングチェーンは伸び気味で、実際冷間始動時にはタイミングチェーンのジャラジャラ音が聞こえていました。
この後ヘッドを降ろしてピストンをブロックから取り外したのですが、すみません画像を撮り忘れました・・・
取り外したピストンを見るとオイル消費の原因は一目瞭然。ピストンリング がゆるゆるになっていて、ピストンに全くハマっていませんでした。ゆるゆるになってしまう原因としてはピストンリング が磨耗して広がってしまう事により、シリンダーとの密着も悪くなってオイルの掻き落とし性能が低下してオイル消費してしまいます。
このピストンリング の磨耗具合を点検する方法として、合い口隙間の点検があります。

ピストンリングをシリンダーに挿入して、合い口の隙間を測定。画像の赤丸の部分です。これはオイルリング(ピストンリングは圧縮の役割があるトップリングとセカンドリング、オイル掻き落とし役目のあるオイルリングの3段構成が一般的です。)の点検の様子ですが、実はこれ合い口が異常に大きすぎています。は測定するまでもなく異常と判断できるほどです。

こちらが新品のトップリングの合い口隙間の様子です。見比べると隙間が大きすぎるのがよくわかるかと思います。
本来はここまで隙間が小さいので、シックネスゲージを用いて隙間を測定して基準値と照らし合わせて点検します。

こちらが元々のトップリングです。トップリングもここまで磨耗していると圧縮も落ちていたでしょう。

オイル消費の弊害として燃えかすが燃焼室内に堆積してしまいます。これを綺麗に落とすのが難儀でして、今回はエキゾーストバルブを全数交換することにしました。インテークバルブはなんとか掃除で落とせそうです。エキゾーストバルブの方が高温になりますので、オイルの燃えかすが強力にこびりついてしまいます。
この燃えかすが悪さをしてバルブが溶損して穴が開くケースもありますので、オイル消費はきちんと修理する必要があります。
バルブが届いたら擦り合わせを行って組んでいきたいと思います。
ではでは!