こんにちは!わだちの犬飼です!本日は昨日終わりに降ろしたエンジンを分解して内部の状況確認と、清掃点検修理まで行いましたので、そのご紹介になります!

ひとまず昨日の状態からタービンなどのエンジン周りの補器類を全て取り払い、すっきりとした状態から本体の分解をスタートします。

パカっとヘッドカバーを開けてみると、まあまあ汚れていますね・・・
実はこのエンジン6万キロほどの走行距離なのですが、以前点検した際に試運転してみたところ、エンジンに若干の物足りなさを感じまして、オーバーホールのご提案をさせていただいた次第です。
6万キロでオーバーホールというと早い気もしますが、中古で購入した場合前オーナーの使用環境が分からないのと、オイル管理が杜撰だったりすると6万キロでも色々と問題が発生します。

こんな感じにスラッジなどが堆積しております。
タイミングチェーンも伸びています。
異音が出るほどではなくてもタイミングチェーンの伸びはバルブタイミングのズレの原因になりますので、伸びによってエンジンの調子は悪くなります。
試運転して感じた物足りなさに間違いはなかったようで一安心です。


ヘッドカバーの裏も汚れが溜まっております。

さらに分解を進めてシリンダーヘッドを取り外したところです。

ピストンの頭についている黒い粒はエンジンオイルが燃えたカスです。実感するほどではないがエンジンオイル消費も始まっていたと思われます。

バルブ周りにもエンジンオイルの燃カスが・・・
よくあるエキゾーストバルブが溶けてしまう現象はこの燃えカスが原因だったりもします。
エンジンオイルが消費してしまう直接の原因は・・・

このピストンにあります。
3本あるピルトンリングのうち、上2本は圧縮に関係していて最後の1本はオイルリングと呼ばれていて、シリンダー内のエンジンオイルを掻き落とす役目があります。
このオイルリングがエンジンオイル管理不足による汚れによって固着したり、オイルが通る穴が詰まったりするとエンジンオイルを掻き落とせなくなるので、ガソリンと一緒にオイルが燃えてしまって消費してしまいます。(正常なエンジンでも微量にオイルは燃焼しますがかき落とせなくなると量が異常に増えます。)


幸いシリンダー内部やピストンのサイドスカートの状態は良好でしたので、このまま清掃して消耗品を交換するだけでバッチリリフレッシュできそうです。
高速走行が多かったりとエンジン回転が高い状況を多用しているとこの部分が異常に摩耗して、ディーゼルエンジンのような異音がします。

これは違うエンジンのピストンですが、オイル管理が良くて汚れは少なくても上記の過酷な走行状態が多いとサイドスカートやシリンダーが異常に摩耗して異音が出ます。おそらくエンジンオイルの粘度が合っていなかったり、粗悪なオイルを使用していた可能性がありますね。

話は今作業しているエンジンに戻って、清掃完了後のピストンに新品のピストンリングを組み付けている様子です。
高性能部品洗浄機を導入しましたので、今まで一晩つけおきしていた頑固な汚れが、ものの数十分で綺麗に落ちる様になり、清掃作業の大幅な時間短縮につながっております。

シリンダーヘッドもピッカピカに。
こちらはバルブ類を全て取り外してオイルシールを交換します。

ヘッドカバーも新品のように復活しました!

見比べていただくとその差は一目瞭然ですね!

シリンダーブロックにピストンを組み付けて・・・・

ヘッド周りも組み付けます。もちろんタイミングチェーンも新品です。
この後バルブクリアランスを測定してもう一度分解して調整です。
調整がバッチリ完了したら・・・

シリンダーヘッドカバーを取り付けてエンジンの完成です!
清掃作業が大幅に短縮されたことで、集中して作業すれば朝〜夕方でここまで仕上げることができます。
明日は定休日ですので、週明けから補器類を元に戻していき、週中頃のエンジン始動を目指して作業を進めていいきます!
ではでは!