こんにちは!わだちの犬飼です。
今回はコペンのATの不具合の修理を行なっていきたいと思います。症状としてはエンジンが冷えている時にシフト操作をするとDレンジやRレンジに入った時に大きな衝撃があったり、その状態で走行するとATが壊れてしまうほどの変速ショックが起こるので、いつもしっかりと暖気をしてから走るしかないとのご相談でした。
暖気をすると症状は出ないようで、ディーラーに相談したところECU通信エラーのログが残っていて、試しにECUを替えてみたが症状は変わらなかったそうです。
冷えないと出ない症状なので、ひとまずお預かりして冷えた状態でしっかりと点検してまいります。ご指摘の症状は当店でも確認することができました。
まず冷えた時のみとの情報から真っ先に疑われるのはATFの油量不足です。温まるとオイルが膨張して体積が増えるので症状が収まるのでは?と思いましたが量は正常。
エンジンを温めないように注意しながら診断機を用いてATのデーター数値を注意深く観察します。すると一つ気になる数値を発見!

注目していただきたいのは上から2段目の’タービン回転速度’という項目です。これはトルクコンバーターのタービンランナーと呼ばれる部分の回転数を監視していて、Pレンジの時は基本的にはエンジン回転数とほとんど同じ回転をするのが正常です。エンジン回転数との差でトルクコンバーターのスリップを演算するのに用います。
しかしこのデータをみると一瞬変な数値が入力されて(この時にエンジンを始動しました)その後は低数値を行ったり来たり。

ちなみに正常なATコペンだとこんな感じでエンジン回転数とほとんどリンクしている数値になります。
明らかに異常な数値です。
この数値が暖気と共にどうなるのかというと・・・

暖気が進むと多少振れている部分もありますが、エンジン回転数にほぼ追従するようになります。このことから暖機後は正常なのも納得です。タービン回転数がわからない状態でシフト操作をすると、ATも準備ができていない状態なので大きなショックを発生させることになります。
幸いこのタービン回転センサーはエンジンルーム内から手の届くところにあるので、試しに当店の在庫車両とセンサーを入れ替えてみると見事に変速ショックがなくなりました!(在庫車両の方は変速ショックが大に・・・)
これでセンサー本体が原因と断定できたので新品部品を取り寄せて、無事に作業完了です!

ちなみにそのセンサーはこんな部品です。センサー自身の特性が熱によって変化することは珍しい事例ですがある事なので、小さな部品でも侮れませんね!
ではでは!